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第12章 case6 【オ前ヲ貶メタイ】 1

急に視界が狭くなる。斎が私を抱きしめたせいで。

さっきまで暖房が付いていたから、教室内は寒くない筈なのに、寒さを自覚し、斎の抱擁でどこか温かい気持ちなる。

・・・普通とは違う付き合い方と解っているからと、どこか冷静に思う気持ちもあるけれど、

純粋に抱きしめられている、という行為は嬉しいもので、ゆっくりと斎に腕を回し、頭を斎に預ける。

「甘えてる?」

「・・かも」

暗い教室の中。斎と2人。

「珍しく素直」

「・・かも」

そんな心境。何かあったわけでもないけど、そんな気分。

「帰る」

という割には、斎は抱きしめた腕を解こうとはしない、から。

「帰らないの?」

顔を上げて聞いてみると、意外と顔が近くて、当然の様に落ちてくる唇に、ゆっくりと目を閉じて、

柔らかく触れる感触に、うっとりしつつ、そのままキスを続けた。

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