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第12章 case6 【オ前ヲ貶メタイ】 1

珍しく、舌の入らない濃厚ではない、唇が合わさるだけのキス。その上、合わさっていた時間も短く感じて、思わす、

・・・モノタリナイ。

と思ってしまうのは、相当斎のペースにはめられている、とも言える。

2人の顔と顔の距離は、数センチ。目線を反らせずにいる状態で、背伸びをすれば再度近づけるけど。

「ふーん」

斎が余裕の表情で、悟った感じを出して、私を見下ろす。解っているらしい。腹立たしいのが半分、じれったいのが半分。

ここで帰った方が賢明なんだ、とは思う。
・・・思うケド。

「・・・もう1回」

強請ったのに。

「どうぞ」

余裕の斎は、目を閉じただけ。
・・・待って、る?

いつもの部屋の中なら、ここまで躊躇しない、と思う。でもここは教室の中。

窓やドアは閉じられているものの、鍵がかかっている訳ではないから、誰かが入ってくれば見られちゃうワケで。

「早く」

急かす余裕な斎が腹立たしい。

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