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第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1

「良からぬ事を考えてる?」

「さ、さぁ?」

彼の腕の中。逃れたいのに、この見た目細腕のどこにそんな力があるというのか・・・。

「そろそろ起きたい」

「そう?」

という割には、腕の拘束は解かれない。痛くないけど、逃げられない程度の力。

・・・当初は恥ずかしいという気持ちもあったけど、慣れた、というか、考えないようにした。

考えたって答えは出ない。動く面倒な抱き枕。それだけ、だ。

現に、寝る時以外は一緒に居なくて済んでいたから。

そして他に変わったことと言えば、彼の一人称。「わたし」と言っていたのはどうも違和感があって、

「わたし」以外にしてくれるように言ってみた。

「で、何に変えたらいい?」

改めて聞かれて困った。私が振っておきながら、だけど。

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