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第12章 case6 【オ前ヲ貶メタイ】 1

「流石に体育の時間はきつかった・・・」

疲れもあって、授業をまともに聞いたようで聞いてない。斎は学生が『仮の姿』だから、適当でも済むけど、私はそうはいかない。

ここまで、考えたところで、はっ、として、歩いていた足が止まる。

・・・私は後2年と少しで卒業する。

ここは高校であり、併設する大学は無い。ここにいるのは期限付き。高校生、という身分である間だけ。

・・・斎と居られるのは、高校生の間だけ、という事実を、今更ながら自覚する。

斎はここから出られない。私は永久にはここに居られない。的場君や永依さんの様に、今ある人生を捨てなければ。

けれど、捨てる気は・・・今のところ、ない、ケド、も。

斎は私を手放してくれるだろうか、と思うのは自惚れだろうか。それより、私は斎から離れられるだろうか・・・。

「結構痛いかも」

別れは決定的、と自覚しただけで、胸に痛みが生じた。軽く胸を押さえる。

ほぼ確定された、決して明るくない未来を振り払うように、再び歩き出す。目的地は・・・職員室。

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