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「１人ぽつんと席に座り込んだまま、微動だにせず、一点を見ていたと思えば、何をやってる」

「い、いつからいたの」

思わず動揺しそうになる。いや、もう動揺しているかもしれないけど、なるべく冷静に・・・と思えば思うほど、空回り。

そして何故か斎の顔が近い。数十センチ。近すぎて、何もかもを暴かれそうな感じで、咄嗟に目線を反らす。

「少し前」

「・・・そ、そう？」

・・・冷静って、どうやったらなれる？落ち着け落ち着け落ち・・・ッッッ!!!

「・・・ンっ」

思考は一気に一時停止。よそ見している間に、斎は一気に距離を詰め・・・触れる。柔らかくて濡れた唇。

良くも悪くも思考が止まってくれたおかげで、一気にキスの甘さを自覚してしまい、目の前の唇の感触では物足りなくなる。

そういえば最近、あまりこういうことして無かったな、なんて再自覚。

だって、それどころじゃなかったし。そんな気分にもならなかったし。斎も積極的では無かったし。

触れる唇の感触が、浅いまま続く。斎が舌を絡めてこない。

・・・タラナイ、よ。