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第17章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 2

「じゃ、5分だけ抜けてやる。その間に、用事を済ませてさっさと消えな」

狐と狸の化かし合いは、その一言で突如終焉を迎えたらしい。そう言って、リビングから一方的に姿を消した均さん。

姿が見えなくなると、素早く私の座っている所に来た。けれど、隣に座る事無く、その場にしゃがみ込み、私と目線の高さを揃え・・・、

「姫様、お迎えにあがりました。帰りましょう」

「・・・・・・は?」

斎からの伝言か何か、だと思っていた私は、拍子抜けしてしまう。まさか、今直ぐ戻れ、なんていうとは思っていなかった。

「斎様がお待ちです。貴女の父親には会えたのだら、もうここにいる理由は無いでしょう?」

ただ、冷静に考えれば、斎は私を四六時中手元に置いておきたい、という態度だった。・・・このところずっと、学校辞めろって言ってたし。

姿が見えなくなると不安になるのは私ではなく、斎の方らしい。

私は・・・というと、私自身のアレコレを聞いて混乱はしても、斎に関して『今すぐ戻りたい』という感情は・・・実は無かったりした。だって、9月になればまた、会えるし。

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