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第18章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 3

「離して欲しいんだ?ホントに?」

コクン、と少し頷く。

「欲しいモノ、あるんだろ?」

・・・ここは否定しなきゃいけないのに、同じくコクン、と頷く。な、何頷いてるの、と後で思い直す。

「正直だねぇ?で、何が欲しいって?」

「いや、あの・・・」

「ねぇ?ナニが、欲しいのか、なぁ?」

顔を近づける均さん。煙草混じりのオトコの匂いを急に自覚する。

否定しなきゃいけない。手を払いのけて、逃げ出して、何か体に巻き付けて・・・、

思うものの、それ以上動けない。

匂いに身体が反応する。オトコの匂い。身体の中のオンナが反応する。・・・ヤバイ。

口では息を吸えないから、必死で鼻から吸って吐いて・・・を繰り返す。段々息が浅くなる。荒くなる。斎じゃないのに、斎じゃないのに・・・。

「欲情してんだろ?」

「・・・」

「欲しいなら、ヤろうか?」

「・・・」

「楽にしてやろうか?」

・・・楽に、な、る?

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