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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

「目が、青いな。俺の資料には書いてなかったが」

・・・資料?

「少し前に変わった、というか、厳密には元に戻ったってヤツじゃねえかな」

・・・何の話?

男子生徒と均さんの会話は私の事・・・みたいだけど、私にとって分からない話をしている。

私には後幾つの秘密があるのだろう・・・。

均さんは何時もと同じ、つかみどころのない飄々とした感じ、に対して、

男子生徒の目は、明らかに私をがっちり捉えている。まるで、獲物を見つけたと言わんばかりの・・・。

というか、ここは・・・逃げた方が、得策?

と思って、1歩後ろに下がる。

かさり、と踏みしめた音に、反応したのは、男子生徒の方だった。

「やっと出てきた奴を、逃がすかよっ」

と言いつつ、走ってくるから、

「きゃぁっっ」

悲鳴を上げて、森の外、屋敷に向かって逃げ出した。

「待てよっ」

って言っても、待つ気は無い。だって、私はあの男子生徒が何者か、知らないのだから。

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