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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

均さんでない事は、簡単に解った。煙草の匂いがしないから。

「・・・い、つき?」

小声で呼んでみる。消去法で、私は斎しか思い浮かばなかったから。

返事は、ない。

という事は・・・斎じゃ、ない?

ドアの前に立っているのは、私を彼女から隠し、匿ってくれている訳じゃなくて、

・・・私を捕まえる、為?

「出たい」

「出して」

「貴方、誰!?」

一切答えない。強行突破するしかない?

どうやって?

考えている間に、無言の相手は私に近付いてきて、

「や、離してッ」

簡単に後ろ手にされると、紐みたいなもので手を括られる。

「なっ・・んんんっんっんっっっ!!」

ピリッという音とともに、口には何か張り付けられ、目にも何か紐か何かで目隠しされた。

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