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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

左手首を掴まれ、目の前の相手の歩調に合わせて歩き出す。

「どうして?」

「ん?」

「解ったの?均さん」

私がここにいると、何時解ったの?

「・・・名前を呼ぶな。学校では『向野(むかいの)せんせー』にしておけって言っただろ?一応、年の離れた従兄妹、って話にはしてあるけどな」

厳密には、従兄妹じゃない。親戚ではあるけど。

というか、私の疑問は無視?

・・・というか、それどころじゃない。

何時まで経っても、視界のピントかせ合わなくて、ぶれてる。

「今更『先生』なんて変」

「それについては、同感だけどなー」

それに、歩けば歩くほど、ふらふらする気がする。

「なら『均さん』でいいじゃん」

「学校は面倒なところだからな」

「そんなの、知らないよ」

大体、それどころじゃないんだってば。妙に身体が熱を帯びて、怠いし。

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