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第20章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 2

「取引は成立した。解っているよな」

「勿論」

斎と落合の間で、密かに成立した密約。

絢乃チャンの主治医になる見返りに、次期理事長の椅子を落合に譲る、という事にしたらしい。

医師でも無い奴に任せて大丈夫・・・なのか?という素朴な疑問はあるが、斎はその辺、気にしていない。

宴について、本来なら生まれてきた段階で、DNA鑑定等をして、孕ませた父親を理事長に据える話だったと思うが・・・。

ま、斎からすれば、無事生まれれば、父親役は誰でも良い、という事なのだろう。

所詮、佐倉家は斎の駒でしかない。

「そんなにあのお嬢様が好きか」

「恋愛感情より、利害を優先した、といった方が正しい。政略結婚とはそういうもんだろう?」

「確かに」

「という訳で、黒田とかに連絡よろしく」

頷く斎。にやりと笑う落合。ま、この2人がどうなろうが、俺には知った事ではないのだが。

・・・と静かな部屋に響く着信音。メール受信した様だ。

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