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第21章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 1

抱き締められている腕は緩んだものの、未だ顔を見る事が出来ないでいる。顔を私の首筋に埋めたままだから。

「捉えられない絢乃に執着している自覚はあった。だから、殺せば・・・と」

「・・・そう」

「だが、起きない絢乃に恐怖を感じた。死んだかと思った。人間は、簡単に死ぬ。簡単に殺せる。簡単に居なくなる」

「契約しても、寿命が延びる訳じゃない。数十年、縛る事が出来るだけだ」

・・・沈黙と独白が交互に続く。

「絢乃、それでも契約を今でも願っている。俺を選べ、と」

「私は主従関係には・・・」

なりたくない、と続ける心算が遮られ。

「違う。絢乃との契約は特別な契約を時間をかけて、する。だから上手くいけば永久に履行される。その変わり、全てを捨ててもらう」

重い選択を、また突きつけられた、と思った。夢の中では斎の生き死にを、

今は斎をとるか、とらないかの選択。

でも前に、私とは契約自体が出来ないと言っていたと思うけど・・・。

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