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第21章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 1

直後、ガタンッッと慌てた様子で椅子を引く音。

振り返ると、鞄を掴みダッシュで教室を後にする彼女、高野香奈の後姿を、辛うじて捉えた。

・・・あ・れ?

敵の親玉である斎の前にまさかの敵前逃亡?

「・・・逃げた?」

まさかね。私には睨みつけまくりだったのにね。偶々かな・・・。

「逃げたとしても、追いかけ、追い詰め、絞め上げ」
「・・・何の話?」

視線を黒板の方に戻すと、いつの間にか、斎は目の前にいて、意味不明の事を言っていたから、聞いてみた。

「さっきの、何の話?」

「・・・絞め上げた、という話、かな?」

「絞め?」

「そう。帰るよ」

そう言って、腕を引かれ、立ち上がらされた。帰る事に問題はないのだけど・・・。

・・・この1ヶ月の間に、斎は何かした、らしい?

高野香奈に対して。

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