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第21章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 1

酷く間延びした声。様子がおかしいとすぐ解る。

・・・逃げなきゃ。

数歩、下がるのは本能。

「逃がさないわよぉ?」

にぃぃぃっと笑むその姿は、何処かおぞましい。ヒトの形をした別物のよう。

・・・斎にはない、というか私には見せていない『禍々しさ』を全目に出している。

高野香奈は人の筈なのに。

「貴女と遊ぶ心算だったけどぉ、止めたわぁ。だって、遊ぶより切り刻んだ方が、楽しくなるから、ねぇ?」

また、数歩下がる。何処に逃げるべき?やっぱり、屋敷?

「勿論、切り刻む前に、怨嗟の声をたっぷり聞いてもらってねぇ?」

走れなくても、逃げなきゃダメ、とまた数歩下がった時、

急に後ろ手にされ、紐で括られる!!

「誰!? 離してッッ!!」

無言で括る相手は多分、男。姿が解らないけど、女の力では勝てない程、強引に私の両手首を縛る。

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