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第4章 case2 【貴方ガ欲シイ】 2

時計を見れば、夕方6時。学校を出て、既に数時間は確実に経過しているけど、何も身体に起こらない。

「・・・騙されてた、かも」

あの取り越し苦労は何だったんだ!!と思いながら、高校に入る前まで慣れ親しんだ、自分自身の部屋に戻り、ごろんっとベッドに身体を預けた時だった。

トントンと、ノックと同時に父の声。

「絢乃、お友達が来てくれたぞ」

・・・オトモダチ?
というか、実家の住所を高校のクラスメイトに教えた記憶は・・・ない。

「誰?」

問いとともに上半身を起こす。父が部屋に通したのは、確かに同じ高校の制服を着た・・・男子生徒。

顔に見覚えが・・・ある気がする。けど、誰だか思い出せない。これはどうしたら・・・。

「ありがとうございます。藤沢さん」

と父に丁寧に頭を下げる目の前の男は・・・ダレ?

混乱中の私を置いて、父は「ごゆっくり」と言いつつ部屋を出ていく・・・えっと、ちょっと置いて行かないで・・・。

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