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第23章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 3

観覧車って、カップルが乗ったり・・・するよね。

向かい合って乗った目の前の均さんと、その後ろの夜景を見つつ、ぼんやり考える。

絶対、斎とは来ない、という来れない場所。

斎はそもそも“遊園地“という存在を知っているのだろうか。

知っていたとしても、見た事が無い遊園地に行こう、なんて思いもしない筈。

「しまった。煙草吸えねえ・・・」

煙草を口に咥えた所で、呟いている迂闊な均さんが少し面白い。観覧車で吸う人はいないし、しちゃダメだし。

乗っている観覧車は緩やかに上昇中。直ぐには降りられない。

「中毒?」

「ないと死ぬな」

火をつけるのは諦めたらしい。火のついていない煙草は、箱に戻される。

その表情は、渋々。

「・・・死にはしないと思うけど」

「口淋しいからな」

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