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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

その後、タクシーの中では、お互い無言だった。

黙っていないと、不安を口にしそうで。

不安を口にすればするほど、ドツボに嵌りそうで。

「屋敷1階、食糧庫」

学校の建物が見えてきた頃、ぽつりと呟く均さん。

均さんの目線は、学校の建物の方を向いたままだ。

「何?」

「屋敷から出れず、どうしても困った時の避難所」

そしてちょうど、タクシーは正門前に着いた。

均さんがお金を払い、先に出る。私はタクシーを降りながら、言葉を反芻する。

屋敷1階、食糧庫、避難所・・・。

避難所を使う事にならなければいい、と思うだけ。

「・・・行くか」

まるで戦場にでも行くような面持。否、均さんにとっては、戦場なのかも。

そして、私にとっても。

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