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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

校門を跨ぐと同時に、肌にまとわりつく空気の違和感・・・。

「・・・解るか」

均さんも感じ取ったらしい。

校門付近には誰もいないというのに、じぃっと見られている強い視線を感じる。

「帰って来た事は、入った時点で解ってんだろうから、今更だな」

屋敷の方に足を向けるけど、歩みは自然と遅くなる。

斎が怖い。こんなに怖いと思った事、ない。

それでも歩けば、必然的に屋敷につく訳で・・・。

呼び鈴を鳴らし、開くのを待つ均さんの表情は、何時もと変わらない。

ああ・・・均さんの強心臓並の、動じない精神力が欲しい。

そして、鍵の開く音と、開く扉。

「お帰りなさい」

と柔らかく笑う、的場君すら何となく怖く感じた。もう今は何もかもに脅えている・・・。

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