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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

「姫様?」

的場君の気遣う声。有り難いと思うより、上回る恐怖。恐怖が恐怖で覆われ・・・。

「お前らが昨日、目の前で暴走しまくるから、絢乃は脅えて大変なんだよ。お前らにとっちゃ、死が身近過ぎて、麻痺しててもな」

均さんのフォローの心算らしいけど、その言葉で昨日の桜の衝撃を思い出して、ますます怖くなった。

「生き死にに関して、麻痺しているのは貴方も同じでは?」

「俺が絢乃ちゃんの目の前であからさまにやる訳ねえだろ。お前ら配慮が足らなすぎ」

「しかし、斎様の姫様である以上は・・・」
「いきなり過ぎるんだよ。ま、斎には解らねえか。

目的の為には手段を選ばねえだろうしな。

絢乃ちゃんもお前も、そうやって籠絡されてきただろ」

玄関で、男二人の言い合いがまた始まった。この感じは前にも記憶がある。

この言い合いを聞くのも気分の良いものじゃ無いけど、かといって、部屋に行くのも恐怖で、結局どうしたらいいか・・・。

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