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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

2階の何時もの部屋に入り、ドアが閉まる音と同時に、スイッチが入ったらしく、斎は私を捕えて、必死で顔中にキスを落とす。

口の中に侵入する舌の味に苦味は無く、寧ろ糖分が勝る印象。

ここに来た以上、抵抗は無駄、というか抵抗する理由もないので、好きにさせていると・・・。

「ああ、術が全く効かない訳じゃないらしい」

動きが止まり、斎が独り言を洩らす。

「地下で付けた血のシミは、ちゃんと今反応が返る」

脳裏には、昨日の夜の蝋燭の暗い中での光景が浮かぶ。

「少しずつ、今以上に堕ちてもらう。毒を飲ませ続けて、狂わせて、逃れられなくしてあげる」

甘い顔で、私を揺さぶる斎に、くらくらする。均さんに揺さぶられていた事を簡単に忘れてしまいそうになる、魔性の笑み。

流石、ヒトならざる者、といったところ。

「さ、始めようか」

私を捕え直した魔王は、私をベッドへと導いた。

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