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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

そう言うと、捕まえていた腕が振り払われ、走って部屋を出て行った。



『それ以上は何もありはしない』



斎の言葉を信じたかったけど、信じるには不安が大きすぎた。

ただ、待っているだけなのは、不安だけ・・・。

屋敷の外に出なければ、大丈夫じゃない、かな・・・。

どうしてもじっとしている事が出来ず、蝋燭の灯りを頼りに、部屋を出た。

古い洋館であるこの屋敷は、灯りが無いと、一層不気味に感じる。特に、何が起こっているか何も把握出来ていない今は、特に。

蝋燭が照らす灯りは弱く、自分自身を中心にしたものだから、まさに“一寸先は闇“を象徴するかのよう・・・。

とりあえず向かったのは、2階で一番学校側が見える部屋。暇つぶしに屋敷を探検していたお蔭で、暗闇でも、位置把握が楽に出来る。

誰も使っていない空き部屋と解っているので、ノックもせずドアを開けた。

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