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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

「離しッ」
「煩いッ」

喚き続けていた私の口を手で覆う、男。

「ンンンッンンンッンーーーッ!!」

「黙れッ、殺すぞッ!!」

「・・・」

殺す、という言葉で、脅えた訳じゃない。

言葉よりも、威圧感というか、寒気と言うか、殺気?らしきものというか、

そういうものが男の方から伝わってきて、本能的に黙った。

だから、黙ってしまった自分自身に少し驚いてもいる。

「咲楽斎の奴隷は、付け焼刃だが戦闘能力を持ってた筈だが・・・」

男の呟きは、何を言っているか解らない。

戦闘能力、って何?奴隷って誰?

「非力だな・・・。もしかして人質?」

・・・人質、という言葉に、少し迷いが生じる。

人質、という事にしておいた方が、逃げられないだろうか・・・。

というか、私は・・・斎を探して、永依さんを助けてもらわないと、いけないのに。

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