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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

厳密には、動く屍。意思の無い人形。

「かつての仲間と闘い、潰し合えばいい」

邪魔な羽虫を完膚なきまでに潰したいが、やはり絢乃を探すのが先。

桜の封印の中にある力はほぼ壊されたが、未だ微量程度には残っているし、

屋敷の隅々に力の名残は残っているから、ソレらを吸い出せば問題ない。

封印解除は敷地を覆う塀に埋め込まれた数か所の術を壊せばよく、

昔は塀にすら近づけなかったが、少しずつ年月をかけて、近づけるように、

そして、細工出来る様になった今、壊す、リミットとは・・・と時計を見れば、後30分後。

「それまで絢乃を探そう。隠したって無駄、って事を教えてあげよう」

屋敷の中が、騒がしくなった。死んだ筈の仲間が、向かってくるのだから、混乱しているのだろう。

いい気味だ。

歩き、辿り着いたのは、絢乃が何時もいる部屋。ケーキが未だ残されている。

「ケーキ、食べ損ねてる」

ケーキ。食べたいとは思わない。甘いらしいが、甘いのは絢乃自身だ。

「・・・早く舐めたい」

抱き締めて、喘がせたい。邪魔の入らない所で、意のままに。

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