テキストサイズ

contract

第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

「咲楽ァッ」

背後、部屋の入り口で、羽虫がうなる声がした。

「待てッ」

「しかしッ」

振り返ると、羽虫が3匹。2匹は見た事が無いが、1匹は知っている。

神野要人(こうのかなめ)。絢乃を玩具にして壊そうとした、あの忌々しい女の、兄。

壊していいのは、私だけ、だ。

そして背中に背負う剣は、破魔の剣。他の奴らに何をされても痛くも痒くも無いが、

アレにだけは、貫かれると、流石に・・・拙い。

が、それよりも・・・。

「私のテリトリーにズカズカと、土足で上がりこむ、下品な『皇の一族』達。貴方たちに用は無い、が」

「貴様ッ」

「絢乃を何処に隠しました?アレは私のモノだ。私はお前らに絢乃をどうこうする権利を与えてはいない」

「隠してなどいない」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ