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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

その時。

グラグラと揺れる屋敷全体。否、この辺一帯。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ」
「絢乃ッ」

腕が引っ張られ、たちまち彼の腕の中。

ドキドキと早鐘が聞こえる。相手は斎じゃないのに・・・と思う私は、相当酷い。

そして、揺れが収まるのを・・・待つ、けれど、揺れは治まるどころか・・・。

「ヤバイな。出るぞ」

揺れる地面に足を取られそうになりつつも、引っ張られる腕の行く先について行く。

意思も何も無く、成り行き。

揺れに対する恐怖感は無く、目の前の均さんが必死な顔で走るのが理解出来ず、

何処かに感情を落とした状態で・・・。

『ああ、そこにいたんだね。絢乃。今から迎えに行くよ』

ふと、聞こえた声。そして、何故か後ろの斜め上の方からの強い視線。

「いつき」

振り返ると、かくれんぼの鬼をしているような無邪気に笑う斎が、見えた気がした。

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