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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3
玄関を開けると、いつしか風は収まっていた。時折強く吹くけれど、大荒れでは無くなっている。
その代わりに振っているのは、雪。
前から降っているのか、うっすらと白い部分も、ある。
大きな揺れは収まってきたけれど、まだ細かく揺れている・・・と思う。
「行くぞ」
腕を引っ張る力は、容赦がない。余裕がない、様に見える。
「ねえ、どうして?」
「危ないからだ。絢乃を危ないところに置いておきたくねえ」
話す内容が、いつもよりはっきりしていない気がする。何か、詰まっている印象。隠して、いる?
「それは・・・、
それはこの揺れが危ないから?
それとも、
斎が、危ないから?」
危ない危ない逃げようと連呼する割には、均さん『何から』かを一切言わない。
私は何から逃がされようとしているの?
その代わりに振っているのは、雪。
前から降っているのか、うっすらと白い部分も、ある。
大きな揺れは収まってきたけれど、まだ細かく揺れている・・・と思う。
「行くぞ」
腕を引っ張る力は、容赦がない。余裕がない、様に見える。
「ねえ、どうして?」
「危ないからだ。絢乃を危ないところに置いておきたくねえ」
話す内容が、いつもよりはっきりしていない気がする。何か、詰まっている印象。隠して、いる?
「それは・・・、
それはこの揺れが危ないから?
それとも、
斎が、危ないから?」
危ない危ない逃げようと連呼する割には、均さん『何から』かを一切言わない。
私は何から逃がされようとしているの?
