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contract

第4章 case2 【貴方ガ欲シイ】 2

「・・・というのは冗談だが」

・・・冗談に聞こえないけど・・・。

「願いを言わない。契約は結ばせない。死という名の鎖に繋いでもすり抜けるなら、別のもので繋ぐだけだ」

・・・何の事?

「絢乃」

私を見下ろす彼の視線が、ずっとぶれる事無く、注がれてる事に気付く。

そしてその視線の距離は少しずつ縮まっているという事にも、気付く。

「・・・ッ」

何か反論したい。でも言葉としてなにも出てこない。

どんどんお互いの距離は縮まり、至近距離になる。一瞬脳裏によぎったのは、実家での的場君。あの時と同じなら、今は逃げだした方が正解・・・。

「諦めろ」

ピクンッと身体が微かに跳ねた。どうにかして逃げようと思ってるのは、解ってるらしい。

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