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第5章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 1

「帰るよ」

にこりと微笑む柔和な印象の“咲楽斎先輩”がそこにいる。まるで人、のよう。

・・・誰?このヒトは。

「私は帰るから、また明日ね。絢乃ちゃん、斎先輩」

悠里はそう言うと、手を振りつつ足早に教室を後にした。彼女は通学できる距離に自宅があるので、寮生ではないのだ。

「また明日、悠里ちゃん」

手を振り返す、斎先輩。他人から見たら、普通の風景?

・・・私から見たら違和感ありまくりなんだけど。

何が起こってる?

「斎センパイ。何か用ですか?」

一応、芝居に乗っかってみる。問い詰めたい気もしたけど、まだ教室の中にはクラスメイトもいたし。

話しながら周りを見るけど、別に他のクラスメイトも斎がこの場にいることに違和感がない様子。

「一緒に帰ろうと思って。ダメだったかな?」

・・・ますます誰なんだろ、このヒト。口調がまた違う。

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