
温もり
第13章 九日目
切り分けた体を、それでも丁重にポリバケツの中にそっと入れ、隣にいる物にノコギリを手渡し、作業を続ける。一切なにも口にせず、背中を向けられているので彼らの表情も見えない零九には、淡々と作業をしている様にしか見えず、時に自分達を心配して声をかけてくれた彼らと同一人物だとは思えなくなる。
ギッ、ギッと肉と骨を斬る音は続き、彼女の体はドンドン小さくなり、最後は目を閉じた首がポリバケツの中に入れられた。
「……さあ、掃除をしよう」
「うん……」
いたわりの言葉を発した口から、無気力に虚ろな言葉がただ発せられ、彼らは体を引きずる様にホースを持って来て水を撒き、洗剤を使って掃除を始めた。
重い空気の中、零九は研究員と同じにしか感じられなくなった掃除係のLL達を見る。
彼らは今の自分を見て何を思うのだろうか。
研究員と同じく、汚いと思うのだろうか、それとも、前と同じ様に思ってくれるのだろうか、それとも、彼女と同じく事務的に無慈悲な優しさで殺す相手だと思うのだろうか。
恐怖にキリキリと痛む胃と、胸を締め付ける痛みに、零九は彼らに問いかける気力も、ニニの事を尋ねる力も完全に削がれ、目の前にある現実を認識するだけで精一杯だった。
それでも、時折頭を過るのはニニのしっとりと濡れた温かな体温と、何度も囁きあった「愛してる」と言う言葉だった。
ギッ、ギッと肉と骨を斬る音は続き、彼女の体はドンドン小さくなり、最後は目を閉じた首がポリバケツの中に入れられた。
「……さあ、掃除をしよう」
「うん……」
いたわりの言葉を発した口から、無気力に虚ろな言葉がただ発せられ、彼らは体を引きずる様にホースを持って来て水を撒き、洗剤を使って掃除を始めた。
重い空気の中、零九は研究員と同じにしか感じられなくなった掃除係のLL達を見る。
彼らは今の自分を見て何を思うのだろうか。
研究員と同じく、汚いと思うのだろうか、それとも、前と同じ様に思ってくれるのだろうか、それとも、彼女と同じく事務的に無慈悲な優しさで殺す相手だと思うのだろうか。
恐怖にキリキリと痛む胃と、胸を締め付ける痛みに、零九は彼らに問いかける気力も、ニニの事を尋ねる力も完全に削がれ、目の前にある現実を認識するだけで精一杯だった。
それでも、時折頭を過るのはニニのしっとりと濡れた温かな体温と、何度も囁きあった「愛してる」と言う言葉だった。
