
温もり
第13章 九日目
「……み、ず……」
零九は声を絞り出し、凍った表情のニニ五を見上げる。なぜ彼がそんな表情なのかは、心のどこかで理解出来た。
こんな所に、失敗作ではないLLが居るのが驚きであり、成功作として一緒に生活していた零九がいると言うのがどういう事かを理解したのだ。
「手が止まってるぞ」
近くに来たニニ四が凍っているニニ五に言い、黙々と掃除を続ける。彼には零九の声は届いていないようだ。
「み……ずを……」
零九は声の届いているニニ五に訴える。水が飲みたい、と。そこにある、水を吐き出すホースをこちらに向けて欲しい、と。
ニニ五は震える手でホースを掴み、零九を見る。
バシャバシャと床に流れ落ちる水を見て、やっと水が飲める。喉の渇きが潤せる。と零九の顔に喜びが浮かび、そして、凍った。
ニニ五は零九を見て、声も届いているはずなのに、背を向けて離れて行ってしまったのだ。
「みず……」
鉄格子の向こう手を伸ばしても届くはずもなく、床に広がる水も僅かに指先を濡らすだけだ。
どうして少しでも水を飲ませてくれないのか、零九には判らず、指先を濡らした水を舐めとる。血の味の中に洗剤の味も混じっている気がするが、それよりも水が飲みたかった。
零九は声を絞り出し、凍った表情のニニ五を見上げる。なぜ彼がそんな表情なのかは、心のどこかで理解出来た。
こんな所に、失敗作ではないLLが居るのが驚きであり、成功作として一緒に生活していた零九がいると言うのがどういう事かを理解したのだ。
「手が止まってるぞ」
近くに来たニニ四が凍っているニニ五に言い、黙々と掃除を続ける。彼には零九の声は届いていないようだ。
「み……ずを……」
零九は声の届いているニニ五に訴える。水が飲みたい、と。そこにある、水を吐き出すホースをこちらに向けて欲しい、と。
ニニ五は震える手でホースを掴み、零九を見る。
バシャバシャと床に流れ落ちる水を見て、やっと水が飲める。喉の渇きが潤せる。と零九の顔に喜びが浮かび、そして、凍った。
ニニ五は零九を見て、声も届いているはずなのに、背を向けて離れて行ってしまったのだ。
「みず……」
鉄格子の向こう手を伸ばしても届くはずもなく、床に広がる水も僅かに指先を濡らすだけだ。
どうして少しでも水を飲ませてくれないのか、零九には判らず、指先を濡らした水を舐めとる。血の味の中に洗剤の味も混じっている気がするが、それよりも水が飲みたかった。
