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温もり

第1章 嗚咽

 薄暗い部屋。女の喘ぎと濡れた音が響く。

「あっ、あっ、んっ、ふっぅん!」

 腰を振る男の下、女は快楽を求めて男の腰に手を這わせる。男はそれを拒絶する様に態勢を変え、女の膝を掴んで激しく腰を振る。

「ああっ! すごっ、凄い……!」

 女は快楽にうっとりした表情で男を見上げる。

「じ、自分の、はっ、母親は、きっ、気持ち、良い……?」

 男は唇を噛み締め、答えない。

 男はセックスしている女の息子。
 男は十代後半。特徴的な灰色の髪と、金色の瞳は会った事の無い父親譲り。身長は百八十を越え、骨太でしっかりした体格に均整の取れた筋肉がついている。
 髪や瞳と同じく、顔の造形も父親譲り。細い眉も、高く通った鼻筋も、薄い唇も、細い顎も、写真でしか見た事の無い父親に似ていると彼自身、自覚している。
 だが、彼が父親と絶対的に違うのは目だ。父親の瞳にはいつも恐怖が宿っていて、彼の瞳には、憎しみが宿っていた。

「あっ、あっ! ねぇ、イキそう? ねぇ? あんっ、んっ、んっ! ねぇ、お母さんで何回、イった? ねぇ。んっ、あっ、あっ、こ、たえなさい、一五零っ!」

 女は快楽に背中を仰け反らせながら我が子を求め、その逞しい腰に手を絡ませる。

 噛み締めた唇から血を滲ませ、一五零の零九はそれでも母親の要求に従い、腰を振る。

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