
温もり
第3章 殺処分
彼の温かい手をニニはギュッと握る。
「ごめんなさい……」
息をするのも苦しい程の罪悪感に、ニニの声は潰れて掠れている。零九は肩を掴んでいる彼の手に血の着いた手を添える。
「俺達にはどうにも、出来ないんだ……」
零九の言葉が届いたか否か、彼は頷く様な動作をする。それから、二人の握る手に僅かに力を込めて、瞼も無く口も閉じる事の出来ない状態の顔を歪ませる。
一瞬その歪んだ顔が何を意味しているのか解らなかった零九だが、微笑んでいると気づき、口を開こうとした時に、彼の手から力が抜けた。
「ごめんなさい……!」
肺を圧迫されている様に苦しそうにニニは力の抜けた手を握って謝罪する。零九は血の海に落ちた、刹那前までは生きていた彼の手を見る。
「……俺達は、何故生まれた?」
ニニのすすり泣く声がする中、零九の呟きはごく小さく発せられる。
ニニを愛するために生まれたと思えても、殺処分をする度に自分の存在に疑問を感じる。
何故自分はこの立場に生まれたのだろう。何も、こんな状況の下に生まれなくても良かった。ニニに出会う事が出来るなら、こんな所に生まれたくなかった。そう、思わずにはいられなかった。
「ごめんなさい……」
息をするのも苦しい程の罪悪感に、ニニの声は潰れて掠れている。零九は肩を掴んでいる彼の手に血の着いた手を添える。
「俺達にはどうにも、出来ないんだ……」
零九の言葉が届いたか否か、彼は頷く様な動作をする。それから、二人の握る手に僅かに力を込めて、瞼も無く口も閉じる事の出来ない状態の顔を歪ませる。
一瞬その歪んだ顔が何を意味しているのか解らなかった零九だが、微笑んでいると気づき、口を開こうとした時に、彼の手から力が抜けた。
「ごめんなさい……!」
肺を圧迫されている様に苦しそうにニニは力の抜けた手を握って謝罪する。零九は血の海に落ちた、刹那前までは生きていた彼の手を見る。
「……俺達は、何故生まれた?」
ニニのすすり泣く声がする中、零九の呟きはごく小さく発せられる。
ニニを愛するために生まれたと思えても、殺処分をする度に自分の存在に疑問を感じる。
何故自分はこの立場に生まれたのだろう。何も、こんな状況の下に生まれなくても良かった。ニニに出会う事が出来るなら、こんな所に生まれたくなかった。そう、思わずにはいられなかった。
