
温もり
第11章 七日目
零九は既に、廊下に続く扉が開くと身体が硬直し、檻に誰かが入って来ると震えが止まらなくなっていた。
抵抗出来る物ならばしたかった。だが、抵抗すれば集団で手足を押さえつけられ、殴る、蹴る、踏みつけると行った暴行に晒されるだけだった。
殺処分で鍛えた彼には、研究員を殺す事も当然可能だ。だが、それをすればその後でもっと酷い事をされるのは目に見えているので、出来なかった。恐怖が体を縛り付けて必死に抵抗を拒否した。
嵐は何時間も続く。
暴行を受けている間、零九はニニの事を考える様になっていた。現実逃避だと判っているが、それ以外に何をすれば良いのか、彼には判らない。
逃げ出せない、抵抗出来ない、防御出来ない。出来るのは、悲鳴を上げて悶え苦しみ、耐える事だけ。
檻の中、酷い悪臭に、自らの糞尿に塗れたまま、零九は声を殺して泣いた。
ニニが一緒ならば、こんなに辛いと思わなかったかもしれない、と思う一方、彼女が居なくて良かったと心から感謝する。
ニニに会いたい。だが、今の自分を見て彼女は何と言うのか、怖かった。
「……ニ、ニ」
動く事も出来ず、硬い床に倒れたまま、零九は最愛の恋人の名を口にする。それだけで胸の奥が少しだけ安らいだ。
抵抗出来る物ならばしたかった。だが、抵抗すれば集団で手足を押さえつけられ、殴る、蹴る、踏みつけると行った暴行に晒されるだけだった。
殺処分で鍛えた彼には、研究員を殺す事も当然可能だ。だが、それをすればその後でもっと酷い事をされるのは目に見えているので、出来なかった。恐怖が体を縛り付けて必死に抵抗を拒否した。
嵐は何時間も続く。
暴行を受けている間、零九はニニの事を考える様になっていた。現実逃避だと判っているが、それ以外に何をすれば良いのか、彼には判らない。
逃げ出せない、抵抗出来ない、防御出来ない。出来るのは、悲鳴を上げて悶え苦しみ、耐える事だけ。
檻の中、酷い悪臭に、自らの糞尿に塗れたまま、零九は声を殺して泣いた。
ニニが一緒ならば、こんなに辛いと思わなかったかもしれない、と思う一方、彼女が居なくて良かったと心から感謝する。
ニニに会いたい。だが、今の自分を見て彼女は何と言うのか、怖かった。
「……ニ、ニ」
動く事も出来ず、硬い床に倒れたまま、零九は最愛の恋人の名を口にする。それだけで胸の奥が少しだけ安らいだ。
