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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 火事の最中に恋人と手を放してしまったばかりに、生命まで失うことになってしまった少女おつやちゃん。
 もしかしたら、おつやちゃんは私に言いたかったのかもしれない。
 大切な男の手はけして放しちゃ駄目だよ、身近にある大切なものを見逃さないでって。
 もちろん、それは私の都合の良い勝手な解釈にすぎないんだろうけど。
 でも、私は、ほんの一瞬だけ見たあの娘(こ)か゛私に大切なことを教えてくれたような気がしてならないんだ。
 それにしても、今日は長い一日だったと思いながら、私は勢いよく家のドアを開けて、ママに〝ただいま〟って声を張り上げた。


 後から聞いた話では、あのお化け屋敷は本当なら八月いっぱいはやるはずだったのに、私たちの幽霊騒動があった翌日には、もう早々と閉鎖になったらしい。
 私と高志のその後は―。
 また機会があれば、話すこともあるかもね。でも、あれから私たちの間はほんの少しだけ、良い雰囲気になりつつあるーんじゃないかな。
 今度の土曜日には、二人だけで動物園に行くことになってるんだ。
 流石に動物園には幽霊は出ないだろうといちおう安心はしてるんだけどね-、どうだろ。
 けど、やっぱり、高志はセンスないね。小学生じゃあるまいし、初めてのデートが動物園だなんて、笑っちゃう。
 でも、高志のそういうところも私は嫌いじゃない。それだけは胸を張ってはっきりと言えるよ。


  おわり
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