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ブルースカイ

第10章 恵(中)

洗面台で口紅がついてないか、チェックし、洗面所を出て、ドアを閉めた。









その時、なんと言いようもない、吐き気がくるくらいの血の臭い。









あかん、いつもの来たわ。美香の青白い顔。赤とも黒とも言えない浴槽の色。









水道から垂れる雫の音。換気扇の音。









ただ静かな光景。だが、俺はじわりと汗が吹き出すのを感じていた。









つい2ヶ月前の5月17日の事。そうか、まだ2ヶ月しかたってないんや。









でも、何度も見たないわ。









俺はその場にへたり込む。脂汗が吹き出し、震えが止まらない。









そのまま倒れ込み、洗面所のドアで頭を打つ。いまだに美香の幻は、俺につらい過去を突きつける。









どれくらいたっただろうか、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。









「聡、聡て。なぁ、どないしたん?」









俺はゆっくりと目を開ける。









「ああ、恵か。どないしたん?」









「30分以上帰ってこんから、様子見に来たら、聡、倒れてたん。」

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