テキストサイズ

ブルースカイ

第12章 コウ

俺は現実逃避するかのようにキョロキョロと周りを見回した。









ふと、時計が目に付く。時計の時間は4時半を指していた。









コウとの約束6時やったな。この場を切り抜けるのは、これが一番やな。









「麻里、俺行かなあかん。もうすぐ友達と約束あんねん。」









麻里は目を開けて驚いた顔をし、すぐに悲しいとも切ないとも取れるような表情になった。









なんか悪いことしてる気になるけど、しゃーないやん。俺には恵おるし。









「ほな、行くわ。」









俺は立ち上がって自宅の方に歩き出した。









麻里はベンチに座ったまま、小さくなっていく俺の背中を呆然と見つめていたらしい。










恵とうまくいってないからって、一瞬でも心が揺れそうになった自分を戒めるかのように、俺は後頭部を2回叩いた。









家に帰り着き、シャワーを浴びると、5時半になっていたので、コウに連絡した。









「もしもし、聡、ドタキャンやないやろな。」









言うに事欠いて、取って即それかい。









「ちゃうわ。どこで落ち合うんか確認やわ。そろそろうち出なあかん思って。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ