一人ぼっちの姫
第19章 戦争
「え…」
突然のことで頭がついていかない。
しかしキルトは、大丈夫ですと言いながら
何もなかったように目の前で戦っている。
「ルイ様、行きましょう」
「あっ…」
流れる左手からの血…
言葉を失い、放心状態になった私を右手で城の外まで連れて行ってくれた。
城の外には、アリナスがいて、驚いた顔をしたがすぐに応急手当てをした。
アリナス「もう大丈夫です、出血は止まりました」
「ありがとう…」
アリナス「ルイ様たちはもう経験されたように、敵軍は町を占領しつつあります。」
「兵士は動いているのに?」
アリナス「突然のことで、兵士たちは後れを取り、敵軍に押されているという状況になっています」
「そうですか…」
アリナス「とにかく、この場からお逃げください!隣国へ町の人たちは移動してもらっています。
ここにいれば危ない目にあってしまうかもしれません。」
「わかった、行きましょうルイ様」
「ええ…」
アリナス「ルイ様大丈夫です。
心を強くお持ちください。これからこのようなことはたくさんあるでしょう。そんな時、この国をまとめるのはルイ様です。」
「ありがとう」
アリナスは、私を元気づけようとしている…
アリナスだってキルトを愛していて、心配なはずなのに…。
こんな私じゃ、国をまとめるなんて無理だ。
もっと、強くならなきゃ…。