或空の群青
第2章 愛し苦しや
「ゆきちゃんの紅茶、
私に飲ませてみてよ。」
のんちゃんの私を見る目が
さっきよりとろんとして
熱を帯びていた。
「ん、」
私はのんちゃんの顔を
自分の口に近付け、
飲みかけていた紅茶を
のんちゃんの口に
そのまま流し込んだ。
「んんっ…チュッ、ん」
ポタポタ…
ごくっ
飲み終わった音が聞こえ、
私はのんちゃんの唇から
自分の唇をそっと離した。
目の前の紅い唇が
お互いの唾液で
しっとりと濡れていた。
「ふふっ…
ゆきちゃん上手。」
唇を指でなぞりながら
のんちゃんは微笑む。
「うっさいなぁー
褒めてるの?…んむっ」
気付くとのんちゃんが
もう一度私の唇に
自分の唇を重ねていた。
私から舌を差し出すと
のんちゃんの熱い口内に
引きずりこまれていく。
気持ち良い……
身を任せてしまった私に
もう拒否する気は
起きなかった。