或空の群青
第1章 クリームソーダ
まだ大丈夫だ。
家族にまで良い顔を
する気は全く起きない。
携帯を持つと
私はゆっくりと
階段を降りて行った。
いつもどおりに
トイレに行き、
歯を磨こうと
鏡の前に立つ。
寝癖は………
今日は大したことないな。
側にあった櫛を取って
丁寧にとかしていく。
はねてる所はあるけど
結べばなんとかなりそうだ。
歯を磨きながら
鏡に映った自分を
一瞥し、リビングに入る。
「おはよ。ママなんで今日
起こしてくれねんだよ。」
「朝から口悪いし~!
それに声も大きい。
もうちょっと女の子らしく…」
「うっせえな。黙ってれー。」
私は中学生に入ってから
随分口が悪くなった。
友達にはそういう
口は聞いていないが、
家族には相当悪かった。
女の子らしくないとか
声が低くて怖いとか
ママから注意は
受けているものの、
これから学校で
散々丁寧な演技を
しなければいけないのに
どうして今から
そんな面倒臭いことを
しなければいけない
のだろうか。
全く聞く気がない。
「はいはーいっ
まず朝からいらいら
させないでよ。
うざすぎだから!」
そう言って洗面所に
戻って行く。
顔を見るとさっきより
眉間にしわが寄っていた。
駄目だこんなんじゃ。
私はほっぺたを
ぐいぐいと引っ張ると
他の支度を済ませ、
さっさと制服を身に纏い
「行ってきまーす」
家を後にして学校に向かった