いつもそこには、君がいて
第1章 1 月曜日
ひとりでニヤッとしていたら、福田さんに顔を覗き込まれてしまった。
「ああ、よかった。今日の峰さん、なんだか元気ないみたいだったんで」
「え? ああ。えっと、実はね」
歳が近く、しかも私ひとりの時間に来ることが多いためか、福田さんは私の相談相手みたいになっていた。
いつからだろう……もう、けっこう前から。
愚痴っぽい話でも、違う会社で働いてるからこそ言えたり聞けたりすることもある。
そして今日もこうして、さっき渡された内示のことを誰よりも先に話してしまうのだ。
「あらら、異動ですか。あ、でも、峰さんの希望通りならよかったんじゃないんですか?」
「うーん、それはそうなんだけど」