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いつもそこには、君がいて

第1章 1 月曜日


『なあ、フジコ。悔しかったら一人前になってみろ』


 三上さんのあの時の一言で、私は今、ここにいるんだと思う。

 未熟者の背中を押してくれるには、十分重みのある言葉だった。
 
 それからの2年は、三上さんに手取り足取りしごかれる毎日だった。

 肉の扱い方から売り場の展開、利益の確保や社員・パートの人時管理にいたるまで、あらゆることを惜しむことなく教えてもらったおかげで、給料もポジションも年齢とともに、人並みにあがることができた。

 長い間この部署においては、女性はパート社員のみだったせいで、女であることが若干ハンデでもあったのだが、それもなんとか自分なりに乗り越えてきたつもりだった。

 日常的に交わされる男くさい会話は、セクハラまがいの下ネタ話だってあるのだけれど、それだって今じゃ軽く受け流せてしまうのだ。

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