いつもそこには、君がいて
第1章 1 月曜日
「わっ、峰さん早いっすね。もっと時間かかると思ってたんですけど」
いじっていた携帯をパタンと閉じて福田さんはそう言った。
「私の帰り支度、これだけなんです」
情けないが、化粧道具なんてろくに入っていないそのかばんを上げて見せて、笑うしかなかった。
「さ、行きましょう」
そそくさと歩きだす私……
この店は青果と精肉部門には上下のユニホームがなく、“スラックスにブルゾン”が社員スタイルなのだが、女の私はパートさんと同様“地味めのチノパンにブルゾン”が仕事着。
普段着とあまり変わらないので、着替えもせず、ついこの格好で通勤してしまうのだ。
昼休みだってご飯を詰め込むだけでなくなってしまうから、化粧直しなどする暇なんてない。