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いつもそこには、君がいて

第2章 2 水曜日


「あ、美味しそうな匂い。いいなぁ。なんだかお腹すいちゃいますね」

「たしかに、腹減りましたね」

 胃の辺りをさすりながら答える福田さん。

「今日、カレー食べよっかな……まあ、レトルトなんですけど」

「ははは。なら俺もそうしようかな」

「福田さんは“手作り”の?」

「いえ、峰さんとおんなじレトルトですよ」

 レトルト?

 “愛情入り”を軽くからかってみたつもりが、思いがけない返答だった。

 あれ、もしかして……

「福田さん、一人暮らしなんですか?」

「はい、そうですけど、なにか?」

「いや、菊川くんのお誘い断ってたみたいだし、菊川くんより全然落ち着いて見えるから、てっきり彼女とか奥さんとかいるのかと思って……」

 自分からこんな話題に話を振ってしまったけれど、なんだか言ってて照れてくる。

「はい? 彼女なんていませんよ。さっき菊川さんにも言ってたじゃないですか」

「え? 言ってました?」

「言いましたよ? しかも“奥さん”って、ちょっと……」

「だって……」

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