テキストサイズ

いつもそこには、君がいて

第2章 2 水曜日


 だって、彼女がいるって、そういう人が福田さんにはいるって思い込んでいたから。

 ひとりで勘違いしていたのがバレてしまって、めちゃくちゃ恥ずかしかった。

「はぁ。全然聞いてなかったんですね、峰さん。ははは」

「すみません、全然聞こえてませんでした。ふふ」


 お互い見合って笑ったそこは、一昨日私が福田さんに八つ当たりした駐車場の入口だった。


「福田さん。一昨日も今日も、ほんと、ありがとうございました」

「いえ……」

「もう大丈夫です。“いつもの私”って言ってもらえたし」

「なら、よかった」

 ようやく顔の筋肉が自然に笑顔をだすことを思い出したみたいに、自分でも“笑ってる”のがよくわかった。

「今日は笑って帰れそうです。じゃ、お疲……」

「あの、沙織さん!」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ