いつもそこには、君がいて
第3章 3 金曜日
「いつ俺のとこに相談しに来んのかと思ってたら、いきなり異動の希望なんか出して来るからさ。かわいくねぇな、と思って、ははは」
「“ははは”じゃないですよ、もう……。めちゃくちゃ悩んでたんですから」
「だったらそう言え、バ〜カ。たいして強くもねぇ意地をはるからだろうが、まったく」
あーあ、全部分かられてる。
でも、そんな意地の張り方を教わったのも、三上さん、あなたなんですけど……と内心毒づいてみたり。
「菊川のこととかさ、もっと周りの奴らを使ったり頼ったりしてもいいんじゃねぇの?」
「……はい」
「こっちでもさ、その店の競合店対策、もっとちゃんとやってやっから、な?」
なんだかすごくホッとして、ここ数日悩みに悩んでいたのはなんだったんだと思うと、急に疲れが出てくる感覚に襲われる。
「じゃ、あの異動の希望はなかったことにすんぞ?」
「はい……、お願いします」
なんとも気合いの抜けた声。
「あ? なんか全然嬉しそうじゃねぇんだけど?」
「いえ、別に」