いつもそこには、君がいて
第3章 3 金曜日
私は自分が気付かぬうちに、福田さんの存在をずいぶんと頼りにしていたようだ。
いや、もしかしたら、福田さんのことが好きだという自分の気持ちに、気付かない振りをしていたのかもしれない。
この年齢になると素敵な人に出会っても、そういう人にはたいてい彼女や奥さんがいて、福田さんに対してもそうなんだろうと思い込むようにしていたのだ。
仕事で会えるなら、別にそれ以上に近付かなくてもいいじゃないかと、まるでブレーキをかけるように。
でも……
この2年、大変ながらもこうしてやってこれたのは、福田さんの“お疲れ様”があったから。
そして、明日からもまだここでやっていきたいと思えるのは、福田さんに涙を受け止めてもらえたから。
できるなら、これからも話をしたい。笑顔が見たい。隣にいてほしい。私をもっと知ってほしい……
――私が自分らしくいられるように。
「これからのことなんて、誰もわかりゃしねぇんだ。結局は、今どう思ってるのかってことだろ、違うか?」
「今の気持ち?」
「おう。たまに素直になったって罰は当たんねぇんだぞ、フジコ」