いつもそこには、君がいて
第3章 3 金曜日
――グ、グーン……
冷蔵ケースの霜取りが作動した音で我にかえり、手にしていたポップの付け替えと今日の売場設定をはじめる。
さすが創業祭だけあって、かなりの還元価格。
半端じゃない忙しさになりそうな予感がする。
前の日眠れなかったのが嘘のように、夕べはぐっすりで、今朝は体が軽く感じた。
三上さんとの電話のおかげで、自分の気持ちが整理できた気がする。
仕事もプライベートも、歳を重ねるごとに少しずつ臆病になってしまって、失敗はできないと、変なプレッシャーを自分にかけていたのかもしれない。
でもそれじゃ、少しも前には進めないよ、きっと。
気持ちに素直に動いてみよう。
そう思える私がいた。
ポップを付け替えバックヤードに入ると、6時20分だった。
あと10分もすれば菊川くんも出勤してくるから、それまでにスライサーに入れる肉の成形を終わらせよう。
そう思って冷蔵室を開けようとした時だった。