いつもそこには、君がいて
第3章 3 金曜日
「おはようございます! 峰さん、すみません。これ……」
ものすごい勢いで売場側から福田さんが入ってきた。
あまりの勢いに、緊張するとか照れるとかそんな暇もなかった。
福田さんの抱えた段ボールは今日の特売商品になる国産牛の切り落とし用の真空ブロックがゴソッと入ってる。
「おはようございます。なに、どうしたんですか、それ?」
「一昨日納品したのがほとんど真空漏れだって……」
「えっ? そうなんですか?」
息もきれぎれの福田さんの様子に、急いで一昨日納品された在庫ブロックを冷蔵室から引っ張りだした。
真空がちゃんとなってないと、袋の中で菌が繁殖して肉が傷み、商品としてはクレームの対象になってしまうのだ。
今日の特売用の40kg分の真空ブロックを作業台に出して、福田さんとひとつつずつ確認していく。
「こっちは今のところ漏れたものはないですよ?」
「うーん、こっちも大丈夫ですねぇ。……三上さんから朝一連絡があったんですよ。“困るぞ”ってかなりのお怒りで」