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いつもそこには、君がいて

第3章 3 金曜日


「ちょうどいいじゃん、今、ケリつけちゃえば?」

「ケリ?」

「ま、そういうことだから。な、フジコ」

「あ、ちょっと、なんで朝からそん……」

「今、運転中だから、じゃ」

 一方的にきられてしまった。

 ケリをつけろって……“お節介は嫌いだ”が聞いて呆れる。



「もうっ、このくそ親父!!」

 つい、いつものくせで出た三上さんへの小さな暴言が、福田さんの耳にもしっかり入ってしまった。

「ははは。峰さんも、なかなか言いますね」

「あ、すみません。いっつもこんな感じなんです」


 あ。

 私の向かいで笑ってる福田さんの髪の毛には、まだピョンと寝ぐせが残っていた。

「ふふふ、福田さん、寝ぐせついたままですよ?」

「あ……、とにかく急いで出たんで、すっかり直すの忘れてました」

「ほんと、朝っぱらからご迷惑おかけしました。ごめんなさい」

「いえいえ」と相変わらずニッコリしたまま、持参した真空ブロックを整理し直して帰り支度を始めた福田さん。

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