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いつもそこには、君がいて

第3章 3 金曜日


「ま、悪いのはあの人ですけどね」

「ははは。でも、朝から峰さんに会えたんで、俺はかえってラッキーでしたけど」

 そう言って笑った福田さんの横顔……

 このまま遠くにいってしまうと思うと、やっぱり胸が苦しくなる。

 ――ケリつけろ

 三上さんのしてくれた余計なお節介は、臆病な私にはまたとないチャンスなのかもしれない。

 今、しかないかも……


「あの、福田さん?」

「はい?」

「一昨日のお話なんですけど……」

 福田さんから笑顔が消えかかったのを見てられなくて、下を向いてしまった。

「私、福田さんが居なくなるとめちゃくちゃ困るんです。笑っていられなくなるっていうか……だから、その、できればこれからも……」

 福田さんはふいに持っていた段ボールを床に下ろし、そのまましゃがみ込んでしまった。

 下を向いていた私の視界の底で、大きな体を小さく小さく丸めている。

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